こんにちは、個別進学塾トークス平塚校 代表の宮崎です。
この記事では、神奈川県の公立高校入試のシステムをわかりやすく解説してまいります。
確実に合格するためには、まず敵を知ることから。
調査書(内申点)や学力検査(入試)はもちろん、高校によっては特色検査や面接・実技試験を課されることもあります。
受験対策が遅れ、直前の時期になって焦ることがないよう受験のしくみを理解し、早めに動き出しましょう。
※本記事ではわかりやすさを優先させるため、イメージしやすい言葉で説明をしています。同じ理由で、「特別選抜」「定通分割選抜」「二次募集」などの内容は省略しています。ご了承ください。
個別進学塾トークス代表の宮崎です!
大手塾に勤務後、独立し茅ヶ崎市に自分の塾を開校。常に満席になることが増えたため、2教室目としてトークスを立ち上げました。
10年以上の指導歴があり、数百名の合格者を出している、神奈川県の高校受験・大学受験の専門家です。
公立高校入試のポイント
まずは、神奈川県公立高校の入試制度をざっくりとご紹介。
詳しい内容は別の記事で解説しているか、後述します。
神奈川県公立高校の出願は1校のみ
出願できる公立高校は1校のみで、複数校には出願できません。
よって、その1校が不合格だった場合は、私立高校への進学など他の選択をする必要があります。
また、定員割れだった公立高校については、二次募集が行われます。
そのため、どうしても公立高校へ進学したい場合には二次募集に出願しましょう。
現在の入試システムでは、学区制も撤廃されているので、神奈川県内であればどこでも受験することができます。
私立高校の受験方法や選び方は、以下の記事にまとめています。
基本は「内申点」+「試験の得点」
神奈川県の公立高校で最もおさえたい点は、「内申点」「入試の得点」(+一部の学校のみ「特色検査」)で合否が決まるという点です。
内申点とは学校の成績で、実技教科も含めた9教科を5段階評価で表したものを数値化したものです。
高校入試本番は1日のみで、5教科実施です。
一部の学校では特色検査と呼ばれる試験があり、独自の問題や面接を課されることがあります。
また、高校によって「内申点:試験の得点」の比率が変わります。これは後述します。
したがって、日々の定期テストや小テストも、入試本番も、両方大切ということを覚えておいてください。
前期・後期はない
以前の神奈川県入試は前期・後期制やア・テスト(アチーブメントテスト)などを取り入れていましたが、現在では廃止されています。
2023年度入試までは「内申点」「入試得点」に加えて「面接試験」も実施されておりましたが、こちらも2024年度入試からは廃止されています。
面接試験の取り組み自体には宮崎も賛成だったんですが、判断基準の曖昧さから受験者ごとの差がつきにくかったため、廃止になったのだろうと読んでいます。
事実、受験者ほぼ全員100点満点という高校もありましたからね…。
試験は5教科で1回のみ実施
入試本番(共通選抜)は例年、2月14日〜16日に実施されており、英語・数学・国語・理科・社会の5教科を1日で終わらせます。
※一部の高校は5教科でないこともあります。
インフルエンザやコロナウイルスにかかった場合は1週間前後で予備日(追検査と呼びます)がありますので、申請して認められればその日程での受験が可能です。
試験時間は50分で、5教科すべてマークシート式です。
ただし、マークシート式とはいえ記述させる問題もありますので、油断は禁物です。
5教科の試験を朝から半日かけて取り組むことになりますので、相応の体力・集中力が必要です。
定期テストと同じノリで「試験前だけ頑張る」みたいなことをやってしまうと、取り返しがつかなくなるのでくれぐれもご注意を。
一部の高校は「特色検査」あり
「特色検査」実施校は一部の高校に限られます。
主には、
・地域のトップ校
・普通科ではないコースや学校
の場合に実施されることが多いです。具体的な高校名は後述します。
特色検査には、共通の学力検査では測れない応用力を問われる「自己表現検査」や必要な技能を問われる「実技検査」などがあります。
特色検査がある学校を受験する場合には、事前に対策を進めておくことが合格のカギになります。
実施されない高校を志望する場合は、対策不要です。
倍率発表後に「志願変更」OK
例年、2月の1週目あたりに2日間程度の「志願変更日」が設定されています。
受験シーズンは、
出願→倍率発表→志願変更→倍率確定→入試…
という流れで進みますが、倍率を見て志望校を変更するといった選択が可能です。
個人的意見ですが、倍率の目安は
・1.0倍〜 → 低め
・1.2倍〜 → やや高め
・1.5倍〜 → 高め
ぐらいに思っておくと良いですね。
仮に倍率が1.5倍だとすると、受験者3人のうち1人が不合格となる確率なので、模試や過去問演習で合格圏内に入っていないと危険水域でしょう。
と、ここまで書いておきつつ…倍率はたしかに大事なんですが、倍率がいくつであろうと、それを上回る努力が大事だと僕は思いますよ。
中学受験や大学受験では3倍〜4倍が当たり前の世界ゆえ、1.5倍程度なら楽勝という見方もできるわけで、要はボーダーラインより高ければいいだけの話ですからね。
そして、倍率で焦らないように中学1年生から準備しておきましょう。
合格・不合格の判定
先に述べた通り、合格・不合格の判定は中学2年生・中学3年生の
・調査書(内申点)
・学力検査(入試当日)の得点
・特色検査(一部の学校のみ)
で決まります。
具体的にどのように決まるのかを見てみましょう。
合格・不合格の選考は2回
試験は1回ですが、合否の選考は2回あります。
試験後の志願変更などはなく、1回目の選考(第一次選考)で不合格だった場合は自動で2回目の選考(第二次選考)に入ります。
第一次選考、第二次選考の人数割合は決まっており、第一次選考では定員の90%分の、第二次選考では定員の10%分の合格者が決定されます。
仮に募集定員が300名の高校だとしたら、第一次選考で270名、第二次選考で30名が合格となる計算です。
第一次選考では調査書(内申点)と入試得点
で判断され、
第二次選考では入試得点と中学3年生における成績表の「主体的に取り組む態度」を数値化したもの
で判断されます。
ん??
中学3年生における成績表の「主体的に取り組む態度」を数値化したもの
って…何??
という声が聞こえてきそうなので、こちらの画像をご覧ください。
第二次選考のみ、この赤丸で囲ってある観点の評価が点数化され、入試得点とともに合否に影響します。
この「主体的に取り組む態度」の数値化は5段階ではなく3段階(A〜A゜⇒A、B⇒B、C〜C゜⇒C)に置き換えられる点に注意しましょう。
とはいえ、90%の入学枠が第一次選考で決まることを考えると、最初から第二次選考(10%)の枠を狙うのではなく、キチンと内申点を取る戦略で進めた方が、合格可能性は高くなるでしょう。
各高校による配点比率
ここまで内申点と入試得点が大事だと伝えてまいりましたが、合否判定のときに重要視される割合(配点比率) は各高校で異なります。
平塚市の近隣の高校でいえば、
高校名 | 2023倍率 | 内申 | 入試 | 特色 |
---|---|---|---|---|
平塚江南 | 1.18 | 3 | 7 | 1 |
大船 | 1.21 | 3 | 7 | |
茅ヶ崎北陵 | 1.35 | 4 | 6 | 1 |
七里ヶ浜 | 1.43 | 4 | 6 | |
鶴嶺 | 1.25 | 4 | 6 | |
茅ヶ崎 | 1.34 | 5 | 5 | |
茅ヶ崎西浜 | 1.06 | 6 | 4 | |
平塚湘風 | 0.64 | 6 | 4 |
このようになります。
例えば、大船高校の「調査書(内申点):入試得点」の割合としては、「内申3:入試7」となります。
つまり、内申点が高くても入試当日の得点が取れないと不合格の可能性がある高校ということがわかります。
反対に、平塚湘風高校は「内申6:入試4」なので、他校と比較して内申点が高ければ高いほど有利な高校です。
偏差値や目安の内申点を考えると、
・入学難易度が高い学校ほど、入試得点比率が高い傾向にある
といえるでしょう。
各高校の比率は、毎年7月に発行される「神奈川県公立高等学校入学者選抜 募集案内 」に掲載されています。
年度によって比率が変わることもありますので、最新の比率は必ず神奈川県の公式HPから確認しましょう。
上位校を目指す受験生の内申点は、ほぼオール4〜オール5で差がつきにくいんですよね。特色検査がある高校でも、同じ受験校ならあまり差がつかないのが現状です。
入試本番の得点で差をつけるしかない…という背景から、このような傾向になったのだろうと思います。
定員割れだった場合
神奈川県公立高校入試について、定員割れだった場合は原則として受験者全員合格となります。
つまり、倍率が1.0を下回っている高校を受験する場合、ルールを守ってさえいれば確実に合格できます。
(ただ、志願変更前に1.0を下回っていたとしても、志願変更後に倍率が1.0以上になる場合があるので注意が必要です。)
定員割れだった高校は、3月上旬に「二次募集」が実施されます。
公立高校入試の「調査書」について
ここからは、調査書の傾向・対策やしくみを詳しく説明します。
内申点はいつから入る?
神奈川県公立高校入試の内申点は、中学2年生〜中学3年生の成績が反映されます。
正確にいえば、中学2年生の学年末の成績と、中学3年生の11月に出る仮成績が対象です。
「学年末の成績が反映されるってことは、前期(1学期)の成績は低くてもいいんだ!」
と考える人もいるかもしれませんが、残念ながら前期(1学期)の成績も合計して学年末の成績が出てくるので、中学2年生の4月から評価対象となっています。
もっといえば、
「中学1年生の頃はダメダメだったけど、中学2年生の4月から人が変わったように高得点連発!」
みたいなことはありえませんので、実質的には中学1年生から高校入試が始まっていると考えた方が良いでしょう。
内申点の上げ方は?
内申点を上げる方法を、以下の記事にまとめてみました。不安な方は参考にしていただき、内申点を伸ばしましょう。
内申点の計算
内申点の計算方法は簡単です。
① 中学2年生の9教科評定の合計(9教科×5段階評価=最大45ポイント)
② 中学3年生(11月まで)の9教科評定の合計の2倍(最大90ポイント)
①と②の合計135ポイントが、公立高校入試で使われる内申点の最大値です。
例えば、成績オール3だと81、成績オール4だと108という内申点になります。
また、内申点1ポイントを入試の得点に換算すると、次のようになります。
内申比率 | 入試得点に換算すると |
---|---|
内申3:入試7 | 入試得点の約1.6点分 |
内申4:入試6 | 入試得点の約2.5点分 |
内申5:入試5 | 入試得点の約3.7点分 |
内申6:入試4 | 入試得点の約5.6点分 |
このように、内申点1ポイントが入試の得点で約5点分に相当することもありえます。
日頃の定期テストや小テストの勉強がいかに大切なのか、あらためて実感しますね。
本筋からそれますが、学校の成績は4が普通だと思うことをオススメします。というのも成績「1」は、よほどのことがないと付きませんからね。
茅ヶ崎高校(全県模試での偏差値は50)合格基準の内申点は「98」。つまり、偏差値50の高校合格に必要な内申点はオール3.5ということになります。
「重点化」について
特定の教科を重視して判定するために、その教科の入試得点や内申点を1.5倍〜2倍して計算することです。
例えば、「英語が強い生徒に入学してほしい」と思っている高校では、英語が得意な生徒の評価が高くなる(英語の得点や内申点が2倍になるなど)ようにして選考します。
重点化されているかどうかは、各高校によって異なり年度によっても変更されることがあるので、必ず確認しましょう。
ちなみに平塚近隣の高校だと、大船高校が「学力検査(入試)の得点:英語(1.5倍)+数学or国語(1.5倍)で計算」となっていますね。
大船高校は「内申3:入試7」の学校で、さらに英数国の点数に重点化がかかるという、平塚近隣の高校の中ではなかなかに尖っている高校だと感じますね。個人的には結構好きです!
公立高校入試の「学力検査」について
それでは、学力検査(高校入試本番)のしくみを見てみましょう。
試験日・時間割
例年、2月14日〜16日付近に実施されています。インフルエンザなど、当日の欠席が認められる場合には追検査(おおよそ1週間前後)に受験することが可能です。なお、学力検査と追検査では違う問題が出題されます。
合格発表は2月27日〜3月1日前後に実施され、朝9時からWebで合否確認が可能です。
試験実施から実に2週間近くモヤモヤした状態で過ごすことになりますが、せっかくならこの期間に高校内容の予習をしておくことを勧めます。
また、学力検査の時間割は以下の通りです。
教科 | 時刻 |
---|---|
英語 | 9:20〜10:10 |
国語 | 10:30〜11:20 |
数学 | 11:40〜12:30 |
理科 | 13:20〜14:10 |
社会 | 14:30〜15:20 |
実際には8:50から注意事項の説明がある点と、数学と理科の間には昼食(昼休憩)の時間がある点に注意してください。
昼食の時間は設けられているものの、ガッツリ食べてしまうと眠くなってしまうため、おにぎりやパンといった軽食で済ませるのが無難かと。
6時間にも及ぶ試験になるので、勉強の体力をつけておかないと、3教科目の数学あたりで集中力が途切れます。本番ということで普段よりも確実に緊張しますから、普段の勉強から負荷をかけて試験に慣れることが必要だと思います。
この視点は結構抜けがちなので、もしも独学で挑む場合には把握しておきましょう。
学力検査(入試)の平均点
神奈川県公立高校入試の平均点を見てみましょう。
学力検査の満点は、5教科×100点満点=500点です。
年度 | 英語 | 国語 | 数学 | 理科 | 社会 |
---|---|---|---|---|---|
2023年度 | 55.3 | 75.1 | 53.0 | 51.0 | 58.4 |
2022年度 | 52.1 | 61.3 | 52.9 | 58.9 | 62.4 |
2021年度 | 54.6 | 65.7 | 58.2 | 50.1 | 72.6 |
2020年度 | 49.5 | 69.1 | 55.7 | 55.9 | 58.2 |
2019年度 | 49.8 | 59.1 | 50.3 | 61.3 | 42.5 |
2018年度 | 56.1 | 65.6 | 56.0 | 45.3 | 41.8 |
2017年度 | 51.9 | 73.1 | 63.5 | 46.9 | 54.5 |
各教科の平均点が(国語を除いて)50〜60点の範囲に収まっていることを考えると、設問のレベルは定期テストのそれよりも難しいことがわかります。定期テストの平均点はおおよそ60〜70点くらいになることが多いですからね。
ただ、ひねった問題が多いのかと聞かれるとそんなことはなく、シンプルな問題とシンプルな問題をかけ合わせたものが多い印象ですね。よく読めばできるよねという問題をどれだけ正確に解けるか、だと思います。
入試の傾向ざっくり解説
当塾は成績をオール3からオール4以上を目指す塾ですから、オール3〜オール4くらいの中学生が知っておきたい傾向をお伝えします。
語ろうと思えば1時間くらい語れてしまうんですが、そんな時間はないと思いますので概略のみお伝えします。
英語
得点の比率がリスニングが2割、文法&英作文が4割、長文が4割という構成上、勉強しても得点がなかなか伸びにくい教科です。
成績がオール4前後で大船・七里ヶ浜・藤沢西高校を目指す場合、長文をどれだけ取れるかで点数が大きく変わります(1問5点のため)から、英語長文に対する物量とスピード感には慣らしておく必要があります。
当然ながら単語力がないと長文は読めませんから、英検3級レベルの単語・熟語はスムーズに引き出せるようにしたいですね。
英単語を効率よく覚えたい人は、以下の記事を読んで暗記力を上げてください。
文法については並び替え問題でダミーの選択肢があるため、消去法だけでは得点が安定しません。普段から、なぜこの英文はこの並び順なのかということを意識しておくと良いでしょう。
並び替えの問題作った人、本当に性格が悪い頭がいいと思います。
国語
点数が取りやすい教科No.1です。大船・七里ヶ浜・藤沢西高校を目指す人はもちろん、鶴嶺・大磯・西湘・茅ヶ崎高校を狙う人も苦手であっても60〜70点は超えられるようにしたいですね。
漢字・文法・俳句など、古文、説明的文章、文学的文章、資料を使った問題の大問5つで構成されています。年度により、大問の順番が違うことがあるので注意してください。
文章題ではそれっぽい選択肢に騙されないことが重要です。
おそらく2択までは絞れると思いますが、本文の内容に適している(本文で述べている)選択肢を選べる力をつけましょう。
そのためには、普段使っているワークや過去問などの解説のページをよく読むことをお勧めします。文章題の勉強ではなぜこの選択肢ではダメなのか?を考えることが大切ですからね。
あるあるなミスとしては、自分自身の主観を混ぜてしまうこと。
あくまでも本文の内容に適しているかどうかですので、受験者自身の考えで「おそらくこうだろう」と推察するのはNGです。
問5は資料を読み解く問題で記述もありますが、実は難易度はそれほど高くありません(読みにくい文章でないことが多い)ので、諦めずに解き切ってください。
数学
計算・関数・図形・データ&確率の分野から幅広く出題されます。
数学が苦手な人は図形に対する勉強の優先度を下げ、計算・関数分野を優先的に取り組みましょう。
ただし関数の(ウ)は、不得意なら後回しにすることを推奨します。
箱ひげ図やヒストグラムなどの学年末の時期に教わる内容は意外と抜けやすいので、漏らさずに練習しておくと良いと思います。
大船・七里ヶ浜・藤沢西高校を目指すなら65点、鶴嶺・大磯・西湘・茅ヶ崎高校を狙うなら55〜60点あたりを目安にしたいところです。
理科
物理・科学・生物・地学の4分野から満遍なく出題され、問1〜4までは基礎的な内容、問5〜8までは発展的な内容を問われます。
基礎的な内容とは言いましたが、
このくらいの問題は出てきます。難易度は決して高くありませんが、内容を正確に把握していないと解けないので練習は怠らずにしておきましょう。この問題は中学2年生の知識で解ける問題ですので、該当する学年の人は忘れないでくださいね。
バランス良く配点されているため、例えば物理は苦手だから捨てる…というのはあまりオススメしません。
実験・図表・グラフの読み取りが多いため、1問1答形式の勉強だけではなく、考えて解く練習を。ただ「石灰石+薄い塩酸=二酸化炭素が発生」など、パッと出せるものはすぐに出せるトレーニングも必要です。
理科は「暗記科目だから暗記すればいい」というのは大きな間違いですので、くれぐれもご注意を。
社会
問1・問2が地理、問3・問4が歴史、問5・問6が公民、近年では問7で総合的な問題が出題されています。理科と同じく、特定の分野を捨てることは避けましょう。
どの大問にも共通しているのは、資料・史料を読み解かせる問題が多いこと。例えば以下のような設問もそうです。
社会に限りませんがこういった問題に対しては、
与えられた情報を正確に読み解き、知識と照らし合わせ、該当する選択肢を選ぶ
という流れが正答を導くプロセスです。
したがって、理科同様に「暗記だけしていればいい」という程度では高得点は望めないでしょう。ただ、理科よりも暗記力で解ける問題は多いため、暗記の重要度も高めです。
地理は知識に加えて時差・地形図の問題も毎年出題されているので、解けるようになっておきましょう。
歴史は古代〜中世、近世〜近代に分かれて出題されますが、いずれも「できごと・内容・年号」はセットで把握しておく必要があります。
意外とネックになるのは公民で、進度の都合上、学校の先生から教わっていない(飛ばされた)内容が出てくる可能性があります。
他教科でも同様の可能性はありますが、最も影響があるのはそもそも知らないと解けない科目である、公民だと感じます。
暗記も紛らわしいものが多く「3分の2か過半数か」「任命か指名か」など、細部まで押さえるクセをつけましょう。
公立高校入試の「特色検査」について
特色検査について、簡単に説明します。
特色検査は大きく「自己表現検査」と「実技検査」という種類に分かれており、通常は特色検査といえば「自己表現検査」を指す場合が多いため、この記事でも「自己表現検査」に絞ってお伝えいたします。
先述の通り、該当する高校以外を受験する場合は読み飛ばして構いません。
実施している高校
2023年度の神奈川県公立高校入試において、特色検査を実施した高校は以下の通りです。
横浜翠嵐・川和・希望ケ丘・横浜平沼・光陵・柏陽・横浜緑ケ丘・多摩・横須賀・鎌倉・湘南・茅ケ崎北陵・平塚江南・小田原・厚木・大和・相模原・横浜国際
特色検査(自己表現検査)の内容
試験時間は60分で100点満点、全科目の内容が含まれる難易度の高い試験です。
大問は4問あり、そのうち問1・問2は共通問題、問3・4は各高校が選んだ共通選択問題となっています。
全体を通して、与えられた情報をロジカルに考えて判断・表現する、いわゆる応用力を求められます。
問1・問2は全校で同じ問題ですが、問3・問4は神奈川県が用意した問題の中から各高校がチョイスした問題となっており、ここに各高校の意思が示されています。(自分で選択できるわけではないのでご注意を。)
塾の先生としては、どの高校が何の問題をセレクトするのか、学校側の性格が出ていて面白いと感じます。
まぁ、問題を解く側としてはなるべく簡単なものを…と思うでしょうが。。
特色検査を乗り越えるポイント
湘南・柏陽・横浜翠嵐といった県トップの高校ではなく、平塚江南・茅ヶ崎北陵・鎌倉などの平塚近隣の地域トップ校を目指すときに意識したいポイントとしては、
① 全部をがんばらない
② 問1・問2は落とさない
③ 特色検査対策に力を入れすぎない
という点です。
①全部を頑張らないのは、単純に時間が足りないことが予想されるからです。
実際に問題を問いてみると感じますが、時間内で満点を目指すのはほぼ無理です。
平塚江南・茅ヶ崎北陵・鎌倉などの高校を目指すのであれば満点を狙うのではなく、取れる問題を確実に拾う戦い方のほうが良いと思いますね。
そういった意味で、②問1・問2はなるべく落とさずに解答したいところです。
そして、③特色検査対策に時間を割きすぎて共通選抜(入試)への対策を疎かにすることは控えましょう。
出題傾向を調べたり過去問を解くことは行うべきですが、模試や過去問で5教科400点に届かないようであれば、特色対策を重ねるよりは共通選抜の正答率を上げる方が受験勉強の効率が良いです。
合格ラインを超えていれば受かるのが受験です。闇雲に勉強するのではなく、合格ラインを超えるために必要なことへ熱量を注ぎましょう。「何に取り組むべきか?」を考えることも大切です。
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