【塾長コラム】本当に「親ガチャ」で人生は決まってしまうのか

こんにちは、個別進学塾トークス平塚校の宮崎です。
突然ですが、「親ガチャ」って聞いたことありますか?
「どうせ自分は親ガチャに外れたから…」
といったように、物事が上手く運ばなかったときに使うようです。
検索してみると、
「親ガチャ」とは、親や家庭環境を、子供が選べないガチャガチャ(カプセル玩具やゲームのくじ引き)に例えた言葉で、生まれた環境が人生に大きな影響を与えるにも関わらず、親は選べないという運任せな状況を表すスラングです。
(Google検索:AIによる概要)
との記述が。なるほど、けっこう悲観的な意味合いを持つ言葉なんですね。
たしかに長年、多くの生徒と向き合ってきた僕から見ても、家庭環境が与える影響の大きさは否定できないところはあると思います。
しかし本当に親ガチャの結果だけで、子どもの人生すべてが決まってしまうのでしょうか?
今回は、親ガチャについて少し僕の見解を述べてみたいと思います。

個別進学塾トークス代表の宮崎です!
大手塾に勤務後、独立し茅ヶ崎市に自分の塾を開校。常に満席になることが増えたため、2教室目として平塚に個別進学塾トークスを立ち上げました。
10年以上の指導歴があり、数百名の合格者を出している、神奈川県の高校受験・大学受験の専門家です。
「甘え」では片づけられない、構造的な問題

まず、最初に申し上げておきたいのですが、親ガチャという言葉に頼りたくなる気持ちはよくわかります。
人生は親ガチャと遺伝ガチャと時代ガチャでほとんど決まる 努力で覆ると思ってる奴は人生舐めてる
(https://x.com/hima_fires/status/1951927015902429460)
親が莫大な資産があったり父親が会社を辞めたりしなければ多額の奨学金を背負うこともなかったし毒親じゃなければ家に居たかっただろうし人生って本当親ガチャや環境ガチャ過ぎる、全部外れてるのに安楽死はないし、カウンセリングやセラピー代を出せる余裕もないし友達もいない
(https://x.com/Forever_yasumi/status/1951457719304724512)
「親ガチャ」で検索すると、このような意見が散見されます。
たしかに経済的な豊かさや、受けられる教育の質、周囲にいる大人の価値観により、子どもの人格形成は驚くほど変わるのが現実です。
塾講師という仕事柄、様々なご家庭の生徒と接する機会がありますが、スタートラインが一人ひとり全く違うことを日々実感させられます。
幼い頃から海外旅行に連れて行ってもらい、視野を広げる機会に恵まれた子
もいれば、
家の手伝いに追われ、勉強時間を確保するだけでも一苦労な子
も存在します。
こうした現実を目の当たりにすると、生まれた環境で人生の大部分が決まってしまうという、いわゆる親ガチャ当たり前論が、まるで社会の常識のように感じられてしまうのも無理はないでしょう。
SNSを開けば、勝ち組のきらびやかな生活が目に飛び込んできて、自分の境遇と比べては落ち込んでしまう…そんな経験をした人もいるのではないでしょうか。
こうした背景がある以上、決して「甘え」という一言で一蹴してしまうのも違うと僕は考えています。
親ガチャはスタートラインでしかない

先ほど「親ガチャは存在するぞ!」という内容に共感しました。
と同時に、
親ガチャは存在するが、あくまで“スタートライン”に過ぎない
とも思っています。
少し厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、親ガチャに外れたから人生終わりなんてことは絶対にありません。
なぜなら、人生とはそのときに持っているカードで勝負するしかないから。
そして重要なことは、最初に配られたカードだけでは勝敗はつかないという点です。
・そのカードを使ってどう戦うか
・どうやって新しいカードを手に入れるか
・手持ちのカードをどう育てていくか
このように、使い方を思考したり、カードを増やしたりすることはできます。
つまり、「親ガチャ」はスタート地点を決める要素の一つではあっても、勝敗まで決めてしまうものではないということ。
親ガチャ自体は存在するものの、それだけで人生は決まらんぞと言いたいですね。
注:わかりやすさを優先するために「勝負」という言葉をチョイスしていますが、人生なんて生きてるだけで全員勝ちですよ。念のために補足しておきます。
受け入れて、自分の力へと昇華する

もちろん「そんなこと言ったって、現実は厳しいよ」という声もあると思います。
とはいえ、自分の人生です。少し嫌な言い方になってしまいますが、誰かが助けてくれることを期待するのはやめましょう。
現実問題、多くの人は無償で他人を助けられるほど余裕がありませんからね。
決して悲観的になるなとは言いませんが、生きるためには日々の選択と行動・努力を重ねる以外に方法はありません。
そのためにはまず、現状をキチンと受け入れること。
自分の感情はいったん置いておいて、事実を事実としてしっかりと認識する。
そして誰かと比べるのではなく、自分のなりたい姿と今現在の姿を照らし合わせて、足りないところを補強すればいいんです。
いきなり理想の姿にはなれませんが、1枚ずつ、持っているカードを増やす・強化することはできますよ。
一例を挙げてみます。
1日15分の読書で知識を増やす
いきなり分厚い専門書を読む必要はなく、自分が少しでも興味を持てる分野の入門書や、好きな小説を読むだけでもいいです。大切なのは、活字に触れる習慣をつけること。1日15分でも、1年続ければ90時間以上の読書量になります。
自分の「好き」を深掘りしてスキルを磨く
ゲームが好きなら、なぜそれが面白いのかを分析してブログに書いてみる。絵を描くのが好きなら、SNSで作品を発信し続ける。どんなに些細な「好き」でも、突き詰めればそれは立派なスキルに成長します。
違うコミュニティに所属して環境を変える
地域のボランティアやオンラインの交流会など、第三の居場所を見つけてみましょう。普段接することのない人々と交流することで、新しい価値観や情報を手に入れるチャンスを得られます。
このように自分を受け入れて、持っているカードを増やす・強化することができれば、相対的に親ガチャの影響も薄れるでしょう。
そのためには、日々の選択と行動・努力を重ねる以外ありません。
これは勉強もまったく同じで、勉強も成果を残すには自分のなりたい姿と今現在の姿を照らし合わせて、足りないところを補強すればいいだけです。
これまでがどうであれ、理想の自分がいるのであれば、そうなるために努力すればいいんです。聞いてるか、中学生・高校生諸君。
ともあれ、親ガチャという言葉で、行動しない言い訳をしないことが大切です。
環境に恵まれなかったという事実は、変えられない過去かもしれません。
しかし、その事実をどう受け止め、どう行動するかは自分自身が決められます。
ピンチはチャンスとも言います、ぜひ逆境を乗り越えて自分の人生をより良いものにしてください。